政府は9日、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催し、外国人が働きながら技術を学ぶ現在の「技能実習制度」を廃止し、人材確保を目的とし、一定期間後に同じ業務分野で職場を変える「転籍」も条件付きで認める新制度「育成就労」を創設する方針を決定した。
会議の中で岸田首相は「政府としては共生社会の実現を目指し、我が国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立って、本日決定した方針に基づき、技能実習制度および特定技能制度の見直しに向けた作業を進めていく」と述べ、今国会への関連法案提出に向けた作業と、外国人材の受け入れ環境の整備を指示した。
現在の「技能実習制度」では、職場を変更する「転籍」が原則認められておらず、厳しい労働環境で失踪する技能実習生が相次いでいたほか、技能実習を目的としながら外国人労働力確保に利用されてきた矛盾や、人権侵害につながる例が指摘されてきた。さらに中国などとの外国人材の争奪戦も激しくなる中、人手不足解消のため外国人が働きやすい制度に改革する必要性が指摘されていた。
これを受け政府は、有識者会議の報告と自民党からの提言を踏まえ、現在の技能実習制度を廃止し、人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする「育成就労制度」の創設方針を決定した。
育成就労制度では、同じ職場で1年から2年の一定期間働くなどの要件を満たせば、同じ分野での転籍を可能とする。有識者会議は転籍可能となる期間を原則1年以上としていたが、自民党の議論で地方から都市への人材流出を懸念する声があがり、分野によって最長2年とすることを可能とした。
また、受け入れ分野ついては、存続する特定技能制度の「特定産業分野」に限定し、必要に応じて特定産業分野を拡大することを検討する。
新制度での人材育成・評価については、日本語能力を重視し、熟練すれば事実上永住も可能となる特定技能への移行を促す。
政府は新制度について、「日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現」を目指し、「外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できる」「人権侵害等の防止・是正等を図り日本が魅力ある働き先として選ばれる国になる」という観点を強調していて、新制度に関する法案を今国会に提出し成立を図る。
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