
政府が今国会に提出する予定になっている、技能実習に代わる新制度「育成就労」の創設を柱とした関連法案の概要が判明した。焦点となっていた、職場を原則3年間変更できない技能実習の「転籍」制限について、政府は制限期間を1~2年に緩和するとしている。
技能実習では、同一職場で計画的に技能を学ぶべきだとの考えに基づき、原則3年間、転籍が認められていない。待遇が悪くても職場を移りにくく、人権侵害や相次ぐ失踪の要因になっているとの指摘がある。
技能実習の見直しを議論してきた政府の有識者会議は2023年11月、基礎的な技能・日本語試験に合格すれば、同じ仕事の範囲内で「1年」で転籍できるとする報告書をまとめた。一方、自民党外国人労働者等特別委員会(外特委)は同12月、地方から都市部への人材流出の懸念を踏まえ、新制度の転籍制限は「少なくとも2年」とする提言をまとめ、大幅な緩和に慎重な姿勢を見せていた。
出入国在留管理庁は29日、外特委(非公開)で関連法案の概要を説明した。
関係者によると、外国人を正面から労働者として受け入れることや新制度の魅力向上につなげたい考えから、政府は転籍制限を一般の労働者と同等の1年としたい考え。一方で、激変緩和措置として、受け入れ分野によっては1年超の制限期間を認め、上限は2年とする方針という。【飯田憲、奥山はるな】
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